くしゃみの役割
くしゃみは、体内に侵入しようとする細菌やウイルス、埃といった異物を激しい呼気で吹き飛ばして体外に出そうとする自然な防御反応です。鼻粘膜が刺激されると脳が反応し、深い吸気があった後、呼吸のための筋肉が短時間に強く収縮して、瞬発的な呼気をおこして侵入した異物を吹き飛ばそうとする仕組みになっています。
くしゃみが止まらない原因・治療
風邪
風邪は、何らかの病原体に感染して鼻やのどなどの上気道が炎症をおこす疾患の総称で、感冒や風邪症候群ともいいます。多くの場合、ウイルスの侵入によるもので、炎症による鼻粘膜の刺激によるくしゃみ、鼻水、咳、のどの痛み、発熱といった症状をおこします。
アレルギー性鼻炎と症状はよく似ていますが、風邪の場合発熱やのどの痛みをともなうことが多くなっています。お子様の場合風邪が長引くと中耳炎を合併する可能性もありますので、お早めにご受診ください。
症状が強いときには抗炎症薬などのお薬を出すときもありますが、とにかく安静が第一です。また冷気にあたることで鼻粘膜が刺激され、くしゃみが出やすくなりますので、部屋を25℃以上に暖めること、乾燥によって鼻やのどの粘膜がダメージを受け悪化させやすいため、適切な湿度を保つために加湿器をつけたり、マスクをつけたりすることも症状の緩和のために有効です。
アレルギー性鼻炎
風邪をひいているわけでもないのに、くしゃみが続く、鼻水が出るといった症状が続く場合、アレルギー性鼻炎の可能性があります。通常は異物と認識されないものを異物と感じてしまい免疫反応が起こることによって起こり、花粉症に代表される季節性のものとハウスダストやダニに代表される通年性のものがあります。
アレルギー性鼻炎によるくしゃみは、アレルゲンとなる物質に触れないことが大切です。
ハウスダスト、ダニなどの通年性のものの場合、掃除の徹底、ソファやクッションなどは布製のものを避け、マットレスやカバーなどは防ダニ加工のものを使うなどの工夫をします。
花粉症の場合は外では眼鏡、マスク、帽子などで花粉をあびないようにし、家に入るときには上に着ているものを玄関に入る前に払って花粉を落とすなどで家の中に花粉を持ち込まないようにするなどの工夫をしましょう。
寒暖差アレルギー
一日のうちの気温差が激しい、春先や秋口といった季節の変わり目になると、鼻がムズムズしてくしゃみが出る、鼻水が出るといった症状があらわれるようなら、近年話題になっている寒暖差アレルギーかもしれません。寒暖差アレルギーは医療用語では血管運動性鼻炎とよばれ、温度差によって鼻の血管が拡張してしまうことが原因で炎症が起こることが原因で正確にはアレルギーではありません。
寒暖差アレルギーかなと思ったら、温度差の激しい時期にはマスクを着用する、冷やさないように上に羽織るカーディガン、肩掛けなどを用意するなどによって、ある程度くしゃみなどの症状を緩和することができます。
また、花粉症やハウスダストアレルギーなどと同様の手術治療も可能です。
刺激物質
環境汚染物質や煙、工事現場の塗装のにおいなど、刺激物質を吸い込んでしまうと、鼻粘膜が刺激され、くしゃみなどの症状があらわれることがあります。ホコリやごみといった異物と同様、刺激物を排出しようとする自然な反応ですので、一時的なものであれば心配いりません。しかし、毒性の高い物質を吸い込んでしまったり、アレルギー反応を起こしてしまったりする場合もありますので症状が激しい場合や長引くような場合には医療機関を受診してください。
モーニングアタック(朝くしゃみが止まらない)
日中はそうでもないのに、朝起きた時にかぎって、くしゃみや鼻詰まりがひどくなるといった現象を、モーニングアタックといいます。
これは、睡眠から覚醒状態に移行する際、自律神経のバランスが乱れるために起こる症状で、とくに花粉症やハウスダストアレルギー、鼻炎などがある場合、症状が強くなる傾向があります。
自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、起きているとき(覚醒中)は交換神経が主に働き、寝ているとき(就寝中)は副交感神経が主に働きます。副交感神経は緊張をゆるめる働きがあり、血管を拡張させるためくしゃみなどの症状があらわれやすく、交換神経は血管を収縮させるためアレルギーの症状も治まりやすくなります。
目が覚めてからしばらくの間、副交感神経と交感神経の交代がうまく働かず、血管が拡張しっぱなしになっていることで、モーニングアタックが起こります。
くしゃみと新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症では、発熱や咳のほか、くしゃみが出ることもあります。また、感染経路に飛沫感染が考えられ、くしゃみにより感染を広げることもあります。くしゃみとともに発熱や咳、呼吸困難が現れた際には、周囲に広げないためにも発熱外来までご相談ください。
くしゃみ1回の消費カロリーは?
くしゃみが止まらないと疲れるかと思います。消費カロリーはどれくらいなのか、気になりませんか?
実は、くしゃみ1回の消費カロリーは約4kcalと言われています。この4kcalがどれくらいかというと、100m走るのと同じくらいだと言われています。ただ、消費カロリーを気にして無理にくしゃみを出そうとすることはやめましょう。自然に出たときに、ふと4kcalくらいかと思ってみてください。