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鼻水が止まらない

鼻水が止まらない原因と治療

風邪

風邪は、鼻、のどなどがウイルスなどに感染して、発熱、のどの痛み、鼻水、咳などの症状をおこす疾患の総称で、風邪症候群、上気道炎などとよばれます。風邪は、ほとんどがウイルスですので、対症療法を中心に強くでている症状にあわせた内服薬の処方などで対応します。鼻水に対しては、鼻粘膜を乾燥させない、直接冷気にあてないようにマスクを着用し、加湿器で部屋を潤し、室温を25℃程度に保つことが大切です。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎の場合、風邪と症状は似ていますが、発熱、のどの痛みなどは見られず、目の痒みなどの症状があらわれます。アレルゲンが鼻に入ると、それを排除しようと鼻水やくしゃみがでます。花粉症に代表される季節性のものとハウスダストに代表さえる通年性のものがあり、いずれもアレルゲンが身体に入らないような生活を送ることが大切です。治療は抗アレルギー薬を処方し、症状がつらい場合は手術や減感作療法などを行います。

アレルギー性鼻炎

ハウスダスト、ダニの場合

こまめに掃除し、ホコリをためないようにすることや、定期的な換気が大切です。
布素材を張ったソファ、カーペット、ぬいぐるみ、クッションなどはダニを増やします。布団や布団カバーも同様ですので、防ダニ加工の素材を選ぶと良いでしょう。
ペットの毛やフケのアレルギーの場合、接触を避け、寝室に入れないなどの対策をとりましょう。

花粉の場合

外出時はマスク、メガネ、帽子、ツルツルした素材のコートなどで身体を覆うようにします。帰宅時は玄関に入る前にコートや帽子などの花粉を落とす習慣をつけましょう。コート、帽子などは玄関に掛けて、リビングや寝室に持ち込まないことも有効です。
治療では、内服薬、点鼻薬、鼻洗浄、ネブライザーなどでの治療や、減感作療法、レーザー治療、ゾレアの注射などをおこないます。

花粉症による鼻水はサラサラしている?

花粉症の場合、風邪などの粘度の高い少し色のついた鼻水と異なり、水のようなサラっとした鼻水が出ることが特徴です。ちょっとうつむいているときに、タラっと鼻水が垂れてしまうことなどもあります。そんな時の外出時はポケットティッシュの携行をお忘れなく、ポケットやバッグに使ったティッシュを一時的に入れておけるよう、ポリ袋も用意するとよいでしょう。

寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)

寒暖差アレルギーは、急激な気温の変化(とくに低下)による血管の収縮に身体がついていけなくなって起こる鼻炎で、正確にはアレルゲンがあって起こるアレルギーとは言えず、医療用語では血管運動性鼻炎といいます。7℃以上の温度変化が急激に起こることで発症するため、炎暑の外から冷房のきいた室内に入る状況や、季節の変わり目などに発症しやすくなります。寒暖差を予測できる際はマスクなどで鼻を保護しましょう。


なぜ鼻水が出るのか

鼻は、主に空気を肺に取り込むための入り口です。外気は、通常体温より温度が低く、また湿度も保たれていません。そのため、鼻の内部は粘膜で覆われ、ヒダの多い構造となっていて、のどに届くまでの間に適切に加湿・加温することで身体に優しい状態にしています。
それと同時に鼻の粘膜で侵入しようとする異物をフィルターする役割も果たしています。
こうした働きをスムーズに行うために、鼻の粘膜からは常に適切な量の粘液が分泌され、粘膜を潤すと同時に、侵入した異物を粘液によってくるみます。そうした異物は鼻腔内の細かい動きによって、自動的にのどの方へ運ばれて、痰として喀出されたり、食道から胃へと送られて胃酸で殺菌されたりします。
通常はこうして呼吸器系を防御するためのシステムが鼻とのどの扁桃などの働きでスムーズに働いているのですが、風邪やアレルギーなどで鼻の粘膜に異物が付着することで、鼻粘膜から分泌される粘液の量が増えてしまうことによって、鼻水の状態となり逆流して鼻から流れ出したり、のどの方へ垂れてしまったりします。しかし、これは正常な防御反応のうちで身体を守るための自然なシステムの一環と言えます。


鼻水が止まらない時にできること

鼻腔を冷やさない、身体を暖める

鼻粘膜は微妙な刺激で影響を受けて鼻水が増えてしまうことがあります。そうならないように、鼻の粘膜をできるだけ刺激しないように、保湿、保温をこころがけることが大切です。保湿に関しては蒸しタオルや、ポットのお湯などが有効です。ホテルでは、バスにお湯をはって、バスルームのドアを少し開けて寝ることや、電気ポットでお湯を沸かして、カップにお湯を入れて枕許において休むといったことも有効です。
また、入浴やシャワーで身体を温めることなども大切です。身体を暖めるためには、体表温度の低い部分ではなく、わきの下、股、あご、首筋といった体幹に近い部分を暖めることが有効です。

部屋の湿度を上げ、乾燥を防ぐ

冬塲やエアコンによる夏場の乾燥などは鼻粘膜の乾燥につながり、鼻水も増えることになりますので、注意が必要です。部屋の湿度は50~60%が鼻水防止のために最適です。
自宅であれば乾燥機を用意する、出張先のホテルなどであればバスにお湯をはって少しバスルームのドアをあけてなるなどが有効です。また、洗濯ものを室内に乾すだけで、かなり湿度が保たれます。その他にはマスクの着用がアレルゲンの侵入なども防ぐことができて有効な手段です。

吸引器や点鼻スプレーを使う

鼻水がひどい場合、市販の吸引器を使うことが有効です。赤ちゃんの鼻水を母親が口で吸い取る習慣がありますが、感染予防の観点からも絶対に避けたい習慣です。お子様の鼻水が多い場合、市販の吸引器を使いましょう。また点鼻スプレーについては医師の処方のもとに使用できるステロイド薬を使用しましょう。

薬を服用する

症状によっては鼻水を緩和する薬を処方することがあります。点鼻タイプの薬もありますが、一般的には総合的に症状を抑えることのできる抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、抗コリン薬などがあります。医師の処方のもとに服用する薬剤は含有成分の容量も多く、患者様それぞれの症状に応じた処方が可能ですので、それぞれにあわせた効果を見込むことができます。しかし手軽につかえる市販薬でも同タイプの薬があります。ただし、これらの薬は副作用として眠くなってしまうことが多く、ご自身の判断で使用する場合には注意が必要です。市販薬を使用する場合は、薬局などで、ご自身の環境を話たうえで、薬剤師にいろいろ相談してみるとよいでしょう。
眠気をおこさない有効な治療として、漢方薬などもあります。それについては次項で説明します。

鼻水に対する漢方薬

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

漢方薬は、その人その人の証にあわせた処方が大切です。小青竜湯は体力が虚弱から中程度の方で、サラサラとした粘度の低い鼻水のでる方に適しています。眠くなる成分が含まれていないため、運転する方などの花粉症対策薬としても有効ですが、麻黄が含まれているため、高齢者や持病のある方には注意が必要です。

葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

比較的体力のある方が鼻詰まりや副鼻腔炎、慢性鼻炎などの症状をおこした際に有効な漢方です。葛根湯がベースのため、身体をあたため、不要な水分を排出する効果があります。
ただし麻黄が配合されており、不眠、動悸、頻脈といった副作用が考えられますので、高齢者や持病のある方は注意が必要です。

辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)

黄色の粘度の高い鼻水がでる方に適したもので、体力は中程度以上の比較的体力ある方向けの薬です。慢性鼻炎や副鼻腔炎などに有効で、身体に熱のこもるタイプの人に向いています。

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

体力が中程度以上にあって、身体に熱のこもりやすいタイプの方の副鼻腔炎や慢性鼻炎に適応する漢方です。たとえば皮膚の色が浅黒く、手の平、足の裏などに汗を掻きやすいタイプの方、お腹が緊張しているタイプの方が鼻詰まりの症状を呈している場合、効果的です。その他、扁桃炎やにきびなどに効果があります。


サラサラの鼻水が止まらないのは新型コロナウイルス感染症?

鼻水がサラサラしていて、微熱が続くようなケースは、ウイルス性の風邪、急性副鼻腔炎などの可能性のほか、新型コロナウイルス感染症の特徴でもあります。発熱外来を受診してください。

発熱外来