においがわからない?嗅覚障害の症状とは?
- 鼻詰まりや鼻水がひどかった後からにおいを感じなくなった
- だんだんまわりのにおいを感じにくくなってきた
- 食材のにおいを嗅ぐのに鼻を近づけるようになってきた
- どのにおいも同じに感じるようになってきた
- 家族がにおうと言っているのに、自分だけ感じないことがある
- 同じものからでるにおいが、これまでと違うように感じる
- 感じることができるにおいとできないにおいがある
- においがしないので、味を感じなくなってごはんやみそ汁が美味しくない
など
においの感じ方
鼻腔の一番高い天井のようになっている部分には、嗅粘膜という特殊な粘膜があります。嗅粘膜は上皮と粘膜部分にわかれており、上皮には脳ににおいの感覚を伝える嗅神経と繋がっている嗅細胞があり、嗅細胞の先端は嗅繊毛といって粘膜の中に飛び出しています。
においの素となる化学物質の分子が鼻の中に飛び込んでくると、嗅粘膜の粘膜部に溶け込み、嗅繊毛の先端にある嗅覚受容体と結合します。そこでにおいは電気信号に変換されて嗅神経を通って脳へと送られ固有のにおいとして認識されます。嗅覚受容体には約400の異なる種類がありますが、これが1対1でにおいを嗅ぎ分けるのではなく、それぞれが相互的に働いて、1つのにおいを特定できる仕組みとなっているため、人は多くのにおいの差を嗅ぎ分けることができるようになっています。
嗅覚障害の原因・種類
嗅上皮性嗅覚障害
嗅粘膜に分布している嗅細胞や嗅神経が風邪などのウイルスや細菌感染、薬物等によって障害される場合と、転倒などによって嗅神経が直接障害される場合、どちらもにおいを感じにくくなります。
中枢性嗅覚障害
交通事故などで頭を強く打って脳の嗅覚を感じる部分が障害を受けるケースのほか、脳血管障害や脳腫瘍、アルツハイマー型認知症といった脳の疾患によって嗅覚を感じなくなることがあります。また、パーキンソン病などの神経の疾患でも嗅覚障害が起こることがあります。
嗅覚障害の治療
嗅上皮性嗅覚障害
風邪、インフルエンザなどによって嗅細胞が障害されてしまった場合は、亜鉛製剤、ビタミンB12製剤などの他、当帰芍薬散などの漢方薬を処方することもあります。治療は早くても3か月、時に1年以上の長期にわたることもあり、回復率も30~40%程度ですが、途中で諦めず気長に治療を続けることが大切です。
中枢神経性嗅覚障害
脳が外傷や、脳血管障害、脳腫瘍といった疾患、アルツハイマー型認知症などで障害されて嗅覚を失った場合は、嗅覚神経の治療と同様、亜鉛製剤、ビタミンB12、漢方の当帰芍薬散などの内服で治療します。ただし進行性の疾患で障害された場合は嗅覚の回復が難しいケースが多くなっています。
嗅覚障害と新型コロナウイルス感染症
嗅覚障害の原因は、細菌やウイルスの感染、アレルギー等による炎症、副鼻腔炎やそれに伴う鼻茸(ポリープ)、鼻腔の形態異常、神経損傷など多岐にわたります。その中でも、ここ数年猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症でも、嗅覚障害や味覚障害の症状があらわれています。
実際に新型コロナウイルス感染症の患者様の40%程度の方が嗅覚・味覚障害の症状を自覚しているとの報告もあります。
新型コロナウイルス感染症で、嗅覚・味覚障害が起こるメカニズムはまだ解明されていませんが、これらの症状があらわれた場合、感染の可能性があります。当院では発熱外来を設けておりますので、お早目にご相談ください。