耳が詰まった感じ・水が入った感じがする方へ
耳に何かがが詰まってしまったような感じや、水が入ってしまったような感じがすることがあります。そうした感覚を医療用語では耳閉感と言います。実際に外耳道に異物が入ったり、水が入ったりしていることもありますが、様々な理由で起こります。時に、耳閉感のうらには、耳鼻咽喉科やその他の疾患が隠れていることもありますので、症状を感じたらお早めにご相談ください。
症状
耳閉感とともに、次のような症状があらわれているケースは、何らかの疾患が原因となっていることが考えられます。お早めに耳鼻咽喉科にご相談ください。
なお、耳閉感のみの場合も症状が3日以上続いている場合、受診することをお勧めします。
耳が詰まった感じのする原因
耳垢の詰まりや加齢、騒音による音響障害などによっても、耳が詰まった感じ・水が入った感じがすることがあります。
その他、耳閉感の原因となる病気には、以下のようなものが考えられます。
考えられる病気
外耳炎
耳の穴の入り口部分から鼓膜までの外耳道が、何らかの理由で炎症をおこしているのが外耳炎です。多くの場合、耳掃除で傷をつけたり、耳垢がたまりすぎたりすることが原因です。症状は耳閉感の他に、痛みや難聴などがあります。
急性中耳炎
風邪などをきっかけとして、鼻の奥と中耳をつないでいる耳管を通して、鼻やのどにいる細菌が中耳に感染し、炎症をおこしている状態です。急に耳が痛み、耳閉感などの症状があらわれます。また発熱することもあります。小さなお子様に多い疾患です。
慢性中耳炎
鼓膜に穴が空いてしまい、細菌が侵入しやすくなって、中耳の炎症が慢性化します。急性中耳炎と異なり耳痛はほとんどありませんが、耳閉感、耳だれ、難聴などの症状があらわれます。
滲出性中耳炎
中耳の細菌感染や中耳と鼻の奥をつなぐ耳管の機能不全によって起こる中耳炎の一種で、中耳が慢性的に炎症をおこして滲出液がたまってしまっている状態です。耳閉感のほかに難聴などで、発熱や痛みはまずありません。
メニエール病
はっきりした原因はわかりませんが、内耳の前庭部や蝸牛にリンパ液が過剰に滲出して、むくみがおこってしまっている状態です。突然のめまい発作をくりかえすことが特徴で、それにともない、難聴、耳閉感、耳鳴りなどの症状があらわれます。
ストレス性内耳障害
ストレスによって内耳に障害がおこっている状態の総称です。広義にはメニエール病なども含まれ、蝸牛のむくみでは耳閉感、難聴、耳鳴り、前庭部ではめまいなどの平衡感覚障害があらわれます。
心因性難聴
内耳や脳には器質的な異常がみあたらず、ストレスなどの心因的な要因から難聴がおこっている状態です。思春期のお子様に多く、家庭環境、クラス替えや転校、進学、いじめなど様々なきっかけで発症します。耳閉感、耳鳴り、めまいなどが主な症状です。
突発性難聴
ある日突然、片側の耳が聞こえにくくなります。ストレスや疲労などが蓄積した際に発症することが多いのですが、はっきりした原因はわかっていません。片耳の突然の難聴に、耳閉感、耳鳴り、めまい、吐き気などが起こります。発作は繰り返さず1度だけです。
耳管開放症
耳管は健康な状態では、通常は閉じていて、嚥下、あくび、鼻をかむなどの動作の際に開いて中耳の内圧を調整しています。この働きが障害されて、常に耳管が開いたままになってしまうと、耳閉感、めまい、難聴、自分の声が反響して聞こえるなどの症状があらわれます。
急激なダイエットなどで耳管周辺の脂肪が落ちるなどが原因で発症しやすくなります。
耳が詰まった感じのしたときの治療
耳鼻咽喉科の診療範囲
外耳炎
検査で感染源をつきとめた上で、抗菌薬の内服、点耳薬などを処方します。多くの場合、耳掃除のし過ぎが原因です。耳垢は本来自然に耳の外にでてきますのでほとんど掃除の必要はないので、月に1~2回綿棒で入り口を掃除する程度に留めましょう。
急性中耳炎
抗菌薬や抗炎症薬などの内服、点耳薬の注入などを行います。膿がたまって激しい痛みがある、熱が高いなどの場合は、鼓膜を切開して排膿すると、痛みなどが軽快します。切開した部分は数日で塞がりますのでご安心ください。
慢性中耳炎
抗菌薬の内服、点耳薬の注入などをおこないます。症状が重く、耳小骨や鼓室が障害されている場合は、鼓室の再建、破れた鼓膜の閉鎖、耳小骨の再建などの手術をおこないます。
滲出性中耳炎
鼻やのどの疾患に関連しておこっていることが多いため、鼻・のどの治療と中耳の治療を同時におこなっていきます。鼻・のどに関してはネブライザー治療、中耳は滲出液を排出さるための通気療法や鼓膜切開などをおこないます。再発を繰り返す場合は、鼓膜に滲出液を排出するための細いチューブを留置します。
メニエール病
内耳のリンパ液の滲出量を減らし、むくみをとるため、利尿剤を処方します。むくみが強い場合、ステロイド薬も有効です。
突発性難聴
ステロイド薬、ビタミン製剤、血流を改善させる薬などを処方します。症状に気づいたら、できるだけ早く治療を開始することで、聴力に障害が残ることを防止できます。
耳管開放症
無理なダイエットなどによる急激な体重減が原因のことが多く、まずはダイエットを中止して、生活習慣の改善をおこないます。点鼻薬や漢方薬などを処方しますが、外科的な治療としては、耳管を意図的に狭窄させる治療や手術などを検討します。
ご家庭でできる応急処置
耳に水が入ったときは、入った方の耳が下になるように首を傾け、同じ側の足で片足ジャンプをしてみると抜けやすくなります。 どうしても、水がのこって気持悪い場合は、火傷に気をつけながらドライヤーで入った方の耳に暖かい風をあてることで、すっきりすることもあります。
耳に異物が入った場合は、自分でとろうとせず、耳鼻咽喉科を受診してください。